最高裁判所第一小法廷 昭和37(オ)1421 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人青柳虎之助の上告理由第一点について。
原判決の引用する第一審判決は、本件土地の所有者である訴外Dの実父、Eが、
Dの代理人と称して右土地を上告人に売却する契約を締結した後、Eの妻を通じて
上告人に対し、本件土地の所有名義がDになつており、面倒なことが起きると困る
から、Eの存命中に右土地の所有権を上告人に移転登記することを要求し、又Eの
娘Fも同趣旨のことを上告人の妻に話したことがある旨を認定しているけれども、
右認定は必しも、Eが代理権なくして本件土地を上告人に売却する契約を締結した
との認定と矛盾するものではなく、第一審判決がその挙示する証拠により確定した
判示各事実を綜合すれば、Eの代理権の存在を否定した原判決の認定は肯認するに
足りる。所論は原判決に審理不尽、理由不備の違法があると主張するけれども、結
局、原審の認定しない事実に基づき、独自の見解に立脚して、原審の証拠の取捨判
断、事実認定を非難するに帰するから、採用できない。
同第二点について。
原判決は、訴外Dと被上告人間の本件土地売買契約当時における右土地の価格は、
二三七万円相当のものであるのに、四五万円で売買されたことは、時価に比し著し
く低廉な価格ではあつたが、右売買契約がなされた当時の事情、その他本件弁論の
全趣旨を参酌すれば、右売買価格が低廉であつたことだけから、右売買契約が虚偽
仮装のものと判断することはできない旨を認定しているのであつて、その認定は挙
示の証拠により肯認できないことはない。所論は右のような低廉な価格で売買され
るには特別な事情がある筈であるのに、かかる特別の事情の存在を認定することな
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く、右契約を仮装なものでないとした原判決には、審理不尽の違法があると主張す
るけれども、論旨は結局、原審の証拠の取捨判断、事実認定を非難するにすぎない
ものであるから、採用できない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 長 部 謹 吾
裁判官 入 江 俊 郎
裁判官 斎 藤 朔 郎
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